【Jetson Nano Mouse活用事例紹介】芝浦工業大学 新熊先生 特別インタビュー(前編)

活用事例紹介

こんにちは。アールティ営業部の渋谷です。

アールティの研究開発向けロボットをご利用いただいているお客様に、実際の使用感やロボットを使った研究開発の内容を伺うインタビュー企画の第四弾です。

今回は、芝浦工業大学 工学部 情報工学科 教授の新熊亮一先生と、新熊先生の研究室(社会情報ネットワークデザイン研究室)に所属する学生の和合さん(2023年4月から同学大学院修士課程)にお話を伺いました。

新熊先生は、現実空間を仮想空間に再現する「デジタルツイン」技術を用いた自動運転の研究など、スマートシティから脳まで、幅広いスケールを対象とした情報ネットワークの研究に取り組まれています。社会情報ネットワークデザイン研究室 HP

また同時に、株式会社ハイパーデジタルツインをはじめとした複数の大学発ベンチャー企業を設立し、社会実装に向けての実験も積極的に行われています。

インタビューでは、新熊先生の研究内容に加え、研究の一部にお使いいただいているアールティのJetson Nano MouseとRaspberry Pi Cat V2について、用途や使用感などを伺いました。

前編(Jetson Nano Mouse)と後編(Raspberry Pi Cat V2)に分けてご紹介します。

 

研究テーマ「社会情報ネットワークデザイン」について

新熊先生の研究に共通するテーマを教えてください。

新熊先生:共通するテーマは、情報ネットワークです。
研究室名には情報ネットワークの前と後ろに「社会」と「デザイン」が付いた「社会情報ネットワークデザイン」を教えています。

情報ネットワークというと昔は例えばビットを送るとか、情報を流すだけのものでしたが、現在はよりサービスを繋ぐという側面が強くなっています。
色々なサービス、モビリティ、ロボット、ドローンを通じ、スマートシティで食・住・移動を繋ぐという意味で「社会」と「デザイン」を付けています。

研究を始めるきっかけは何でしたか?

元々情報ネットワーク、その前は通信システムの研究をしていました。

送ると受信するというのが最小のシステムで、送って受信して送って受信してが広がっていって情報ネットワークになります。
通信システムや情報ネットワークのAI(当時はエージェントと呼んでいた)の研究をスタートしていると、必然的に今の時代は情報とサービスが近いところにあって、先ほどのスマートシティで食・住・移動を繋ぐといった「社会」と「デザイン」を全部含めて研究の対象になりました。

今の時代はヘテロジーニアスという「異なるものが混在している状況」です。通信自体も電波や光の通信など色々なものがありますが、それらが混ざると問題が起こりやすいことは何となく想像がつきますよね。
データが全部一緒でシステムも均一だと制御しやすいですが、実際は「このデータは容量が大きい」や「ここは通信が遅い」などのヘテロジーニアスな状況になります。

温度センサみたいな小さくて計算能力も低くて省エネルギーで動くものもあれば、LiDARのように大容量でデータを送らないといけないものもあり、元々ヘテロジーニアスな情報ネットワークや通信システムを研究してきた私の出番というか、私が解決していかないとスマートシティがサービスとして出てきた時に皆さん困るだろうと思いまして。

実際に建物や街の3Dマップを作ろうとすると、そのやり取りは大容量だし、現実世界は変化します。
その変化をどうやって扱うか、専門性を持った研究者もエンジニアもまだ少ないので、私がお手伝いできることがあればな、というのが流れです。

Jetson Nano Mouseの活用

スマートシティの実現を目指した研究の中で、Jetson Nano Mouseを使ってモビリティの実験をしようと思ったきっかけは何ですか?

新熊先生:共同研究している企業の方から小型の移動ロボットで実験していることを聞いて「そういうアイディアがあるのか!」と思ったのがきっかけです。

最初は小型の移動ロボットで実験をすることに対して、そこまでメリットを感じなかったんです。
小さなロボットならそりゃできるだろう」と思っていたのですが、ステップアップという意味で、まずは色々試そうと。

当初、小さいものと車のような大きいものを操作するのは違うと思っていたんですが、今は機械(ハード)だけでなくソフトウェアの力がすごく大事になっているんですね。
Jetson Nano Mouseのような小型の移動ロボットでもできることは、極端に言えば車道を走る車にも繋がっていることが分かったので、アリだなと。

Jetson Nano Mouseを選んだのは、アールティが教育用として販売していて、サンプルプログラムがあったのが大きいですね。
それまではシミュレーションをしていても実際にモノを動かしていなかったので、サンプルプログラムやセミナーなどの教育プログラムがあったのも良かったです。

また研究室にはNVIDIA社のJetson Nanoが沢山あって、学生にとってもいつも触っているデバイスだったので取り組みやすかったです。

商業施設や工場などで働く宅配ロボットや運搬車を想定したJetson Nano Mouseのデモ動画

センサ搭載なしのJNMouse4台が直進、旋回し、さらに赤いマーカー部分(障害物とされているエリア)を避けて走行します。

前へ横へといった制御情報は知らせず、事前に作成したマップを使って自律走行をしています。そのため、ネットワークが切れた場合でもマップに従って最低限の走行が可能で、ロボットの暴走や急停止などの、通信を介して遠隔で自動運転する上での危険を防いでいます。
(参考:YouTube「安全な自律型マイクロモビリティの拡張デジタルツイン基盤」

Jetson Nano Mouse使用レビュー

 

 

 

 

 

 

研究室に所属する学生の和合さんに実際の使用感を伺います。
Jetson Nano Mouseを使ってみて、良かった点や困った点を教えてください。
和合さん:僕は元々ウェブアプリケーションやモバイルアプリケーションなどソフトのプログラミングを行っていて、この研究室でインターンをする中で初めてロボットに触りました。

そもそもロボットがどうやって動いているのかも分からなかったのですが、アールティがGitHubやHPにソフトのインストール方法や使い方などのチュートリアルを数多く掲載されていて、それを見ながらどんな風に動いているかとか、ロボットの中の環境の構築とかを学んでいくことができたので、ロボットの入門としてとても使いやすかったです。

困ったことは、たまにGitHubで手順通りにやったのに上手くいかないことです。あるあるだと思いますが。

ソフトウェアチュートリアルがあることで始めやすかったのですね。

和合さん:そうですね。
あとはROSを使わなくてもデバイスドライバを触れば動かせるので、それもいいと思います。
僕が最初にJetson Nano Mouseを使った時は、ROSを一切使わずに自分でコードを書いてデバイスドライバを叩いて動かしていました。

参考:Jetson Nano Mouseソフトウェアチュートリアル
https://rt-net.github.io/tutorials/jnmouse/products.html

続いて新熊先生もJetson Nano Mouseのレビューをお願いします。

新熊先生:Jetson Nano Mouseは、やはりまずとっかかりとしてすごく良くて、学生がデスクなどの小さいスペースで移動ロボットの基本を一から試せるのが良いですね。

学生さんにも活用いただいていますが、大学の講義にも使用されていますか?

新熊先生:研究室での使用がメインですね。
ですが、研究室に配属される前の1~3年生向けインターンでも使っています。

講義では使っていませんが、今後使っていきたいなぁと思っています。
講義は100人以上が受講しますが、小型のJetson Nano Mouseは、教室や演習室でも使いやすいと思うので。

Jetson Nano Mouseについてのレビューありがとうございました。

 


Raspberry Pi Cat V2の活用については後編でご紹介します!

【Raspberry Pi Cat V2活用事例紹介】芝浦工業大学 新熊先生 特別インタビュー(後編)
こんにちは。アールティ営業部の渋谷です。 アールティの研究開発向けロボットをご利用いただいているお客様に、実際の使用感やロボットを使った研究開発の内容を伺うインタビュー企画の第四弾、後編です。 前編はこちら Raspberry P...
タイトルとURLをコピーしました