アールティ製品「USB出力9軸IMUセンサモジュール」と「Raspberry Pi Cat」を実際にご活用いただいている例をインタビューと共にご紹介します。
つくばチャレンジ2021で3チームがアールティ製品を使用
2021年11月に茨城県つくば市にて屋外自律走行ロボットの技術チャレンジ「つくばチャレンジ2021」が開催されました。
つくばチャレンジとは?
「つくばチャレンジ」は、2007年から毎年実施している、つくば市内の遊歩道等の市街地で移動ロボットが自律走行する技術チャレンジです。人々が普段使っているあるがままの実環境(リアルワールド)における、自律走行技術の進歩を目的としています。研究者と地域が協力して行う、先端技術への挑戦と公開実験の場です。
つくばチャレンジ2021HP「つくばチャレンジ概要」より引用
つくばチャレンジのゴール(撮影:アールティ)
大学の研究室や社会人サークルなど全76チームが出場する中、芝浦工業大学 長谷川研究室と、千葉工業大学 未来ロボティクス学科の学生さんがアールティ製品を使ってエントリーしてくださいました。
チーム名 | ロボット名 | 所属組織 |
芝浦工業大学 長谷川研究室 | Delta Flyer(※1) | 芝浦工業大学 |
千葉工業大学 未来ロボティクス学科 CAT-Aチーム | Raspberry Pi Cat | 千葉工業大学 未来ロボティクス学科 |
千葉工業大学 未来ロボティクス学科 CAT-Bチーム(※2) | Raspberry Pi Cat | 千葉工業大学 未来ロボティクス学科 |
(※1)USB出力9軸IMUセンサモジュールを搭載
(※2)CAT-Bチームは当日出場なし
芝浦工業大学 長谷川研究室の皆様とDelta Flyer
(ロボットとお揃いのユニフォームが素敵です!)
千葉工業大学 未来ロボティクス学科 CAT-AチームのRaspberry Pi Cat
出場チームの結果はつくばチャレンジ2021のHPでご覧いただけます。
出場チームインタビュー
今回アールティ製品を使って出場いただいたチームの方に、チャレンジへ向けた開発内容や、アールティ製品を選んでいただいた理由などについてインタビューさせていただきました。
芝浦工業大学 長谷川研究室
インタビューご協力:松井さん、三好さん
三好さん:つくばチャレンジでの課題達成(指定コースの完走等)を目指した自律移動ロボット開発です。
松井さん:加えて、自立移動ロボット専用の外装開発です。
三好さん:ロボット本体は、つくばチャレンジの環境に対応できるように構築してあります。3D LiDAR設置部を高くすることで周囲の人の映り込みを防いでいます。ロボットのカバーは、なるべく隙間の無いようにして、突然の雨に備えています。また、径の大きなタイヤを使用して段差に対する走破性を高めています。
松井さん:自律移動には欠かせない3次元環境地図を作成する必要があったので、自己位置推定に必要なデータを計測できるようにロボットの車軸上にUSB出力9軸IMUセンサモジュールを搭載しました。
三好さん:サイズが小さいため、取り付け位置に悩む事無くロボットに搭載することができました。つくばでの実験においても、地図作成や自律走行時を行うのに十分な精度でデータ取得を行えました。
松井さん:基盤にX軸、Y軸がそれぞれ記載されているため、使用したい向きを混乱せず作業の正確性を保証でき、準備時間の短縮にもつながりました。また、基盤の大きさが小さかったことからロボットに無駄なスペースや重量を加えずに済み、扱いやすかっただけでなくロボット自体の機動性も確保することにつながったと思います。
三好さん:なにかトラブルが起きたとき、ハード、ソフトのトラブルどちらなのか…など、問題の切り分けや解決もロボットというのは難しいですが、解決したときは楽しいので、経験を生かしてこれからに繋げていきたいです。
三好さん、松井さん、ありがとうございました!
芝浦工業大学 長谷川研究室では「Delta Flyer」への搭載以外でも、LiDARの角度を知りたいときや、環境地図作成用のデータ収集、除雪機の滑落事故防止策に使用する高精度なナビゲーションシステムに関する研究の姿勢検出など、様々な用途にUSB出力9軸IMUセンサモジュールをご使用いただいています。
USB出力9軸IMUセンサモジュール 製品情報
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千葉工業大学 未来ロボティクス学科 CAT-Aチーム
インタビューご協力:池邉さん
池邉さんは2020年に開催された津田沼チャレンジにもRaspberry Pi Catで出場されています。
当時のインタビューブログ等
Raspberry Pi Catで津田沼チャレンジ完走!活用例のご紹介
Raspberry Pi Catを使用して屋外自律移動チャレンジに挑んだ話
池邉さん:津田沼チャレンジで初めてRaspberry Pi Catを使用した時は、チャレンジ当日まで期間も短く、既製品ですぐ使用できそうなロボットとしてRaspberry Pi Catが研究室にちょうどあったのがきっかけでした。
その時は、屋外自律移動チャレンジなどでRaspberry Pi Catを走行させているチームを見たことがありませんでしたし、Raspberry Pi Cat用のナビゲーションパッケージがなかったので、とても開発をしててやりがいを感じました。当日の津田沼チャレンジでは、小型ロボット特有の問題がでてきたりして、とても勉強になりました。
その後、2021年の10月頃につくばチャレンジに参加してみようという話が出てきました。
最初は「完走ができそうな走破性の良いロボットを開発して、つくばチャレンジに出場しよう」という意見もありましたが、最終的には、他のチームと同じことをしても面白みがないので、自分たちのチームは「小型で安価な構成の移動ロボットで出場しよう」という話になり、外界センサとして2D LiDARのみを搭載したRaspberry Pi Catを使用することにしました。
実際に使用した機体の写真
池邉さん:2020年の津田沼チャレンジと今回のつくばチャレンジの環境はそれぞれ違いますが、研究目的に関しては延長線上です。「小型で安価な構成の移動ロボットにおいて、安全に屋外での自律移動を行う」というのが、当チームの研究目的です。
池邉さん:津田沼チャレンジの頃と違う点として「rosbagを活用したこと」「シミュレータを活用したこと」の2点が挙げられます。
まずrosbagについてですが、rosbagは実験した時のデータの記録・再現ができる便利なツールです。津田沼チャレンジは自分たちの大学の構内で開催されたこともあり、大学内でいつでも実験させることが可能であるため、あまりrosbagを使用していませんでした。しかしつくばチャレンジでは、実験走行させることが可能な日が限られているため、この便利なツールを使わない手はありませんでした。そこで、rosbagを使用して、マッピング作成や自己位置推定のテストを行うためのパッケージを作成しました。作成したパッケージ内容は、各一連の作業の流れを体系化したものです。
次にシミュレータについてですが、rosbagでの説明で話していたとおり、実験走行を行うための日数が限られているため、ナビゲーションもテストを行う必要がありました。rosbagを再生してナビゲーションをテストすることは困難であるため、シミュレータ環境を作成することにしました。シミュレータ環境は、オープンソースであるmap2gazeboを使用することで、簡易的な環境ではありますが、とても簡単に作成することが出来ました。
(環境の作成についてはこちらの記事をご覧ください)
作成した環境では、経路計画、障害物回避、コストマップ、ウェイポイントの確認に使用しました。
池邉さん:ハードウェアに関して気にすることなく開発することが出来たのが良かったです。使用しているRaspberry Pi Catは、今まで故障等はありませんでしたが、最悪故障した場合は修理依頼または新しいものを購入すれば問題ないので、ソフトウェア開発に注力することが出来ました。
また、参加してロボットを走らせることで色々な課題等を発見することが出来ました。
今後は得られた知見を基に様々なアップデートを行っていこうと思っています。
https://github.com/uhobeike/raspicat_navigation
Raspberry Pi Cat 製品情報
※現在こちらの製品は一部部品の生産終了に伴い受注を停止しております。新しいバージョンを再販予定です。詳しくはお問い合わせください。
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インタビューにご協力いただきました皆さま、ありがとうございました!
今後もこのような活用事例、インタビューを当ブログでご紹介していければと思います。
今回ご紹介した事例に関するお問い合わせは、アールティまでお願いいたします。