ロボットを使用する場合におけるニッケル水素バッテリに関して、
情報が少ないように見受けられるので、記述しておきます。
==ニッケル水素バッテリ(Ni-MH)とは==
二次電池の1つで、充電すると何度でも使用することができます。
ニカドバッテリ(Ni-Cd)の次世代バッテリとして使用されています。
材料には、正極に水酸化ニッケル、負極に水素吸蔵合金、電解液に濃水酸化カリウム水溶液 (KOH (aq)) を使っています。
==ニッケル水素バッテリの特徴==
=長所=
有害物質であるカドミウムを含まない。
ニカドバッテリよりも容量密度が高い。
ニカドバッテリより内部抵抗が小さく、大電流放電が可能。
ニカドバッテリには劣るものの、低温特性に優れ低温時の電圧降下が少ない。
ニカドバッテリと比べメモリー効果が小さい。
リチウムバッテリより安全性が高い。
=短所=
ニカドバッテリに比べ過放電に弱く、完全放電するとバッテリが劣化し容量の低下・使用不可状態になる。
自己放電が大きい。
==ニッケル水素バッテリの使用==
=使用時=
充電した直後の1セルあたりの電圧は、1.5Vほどになります。
また、バッテリの1セルあたりの使用中止電圧は、0.9Vとなります。
ロボットに使用する場合だと、電圧を高くするためにセルを直列に接続してパック化しています。
たとえば9セルを直列接続すると、満充電直後1.5Vx9セル=13.5V、使用終止放電後0.9Vx9セル=8.1Vとなるため、
使用するロボットの使用可能電圧を確認しておくことをお勧めします。
また、電圧を常に監視して、過電圧・低電圧チェックをして、バッテリを使用しましょう。
ロボット使用中に、使用中止電圧(1セルあたり0.9V以下)になったら使用を中止して、直ちにバッテリを充電しましょう。
=充電時=
ニッケル水素バッテリには、メモリ効果があります。
メモリ効果とは、完全に使い切ってないバッテリを充電(継ぎ足し充電)した場合、
まだ容量が使用可能な程度に残っているのにもかかわらず、急激に電圧が低下してしまい、実質上使用できる容量が少なくなってしまう現象を言います。
そのため、充電時は以下のプロセスが必要になります。
急速充放電器を使用してバッテリパックを充電する場合
1.バッテリを放電終止電圧(1セルあたり1.0V)まで、1C放電する
2.バッテリを1C充電する。
1Cとは、バッテリに流す電流をいいます。たとえば、800mAhのバッテリ容量をもつ場合、800mAh×1C=800mA=0.8Aを設定します。
ニッケル水素の放電終止電圧は0.9Vだといわれているのですが、ロボット用だと直列にしてパックにしているので、セルごとにバッテリ電圧のバラつきがあります。なので、ぎりぎりまで放電せずに1セルあたり1.0Vまでにしておくと、バッテリの劣化は押さえられるかと思われます。
(9セル800mAhのニッケル水素バッテリ充電例)
1.急速充放電器の設定をニッケル水素充電モードにする
2.放電電流0.8A、放電終止電圧9.0Vに設定する
3.充電電流0.8Aに設定する
4.放電、充電の順番で充電する
=保管時=
過放電に弱く、完全放電するとバッテリが劣化し容量の低下・使用不可状態になりますので、
保管時は、バッテリを満充電にして、難燃性の袋の中などに保存してください。
自己放電があるため、このままでおいておくと、そのうちバッテリ電圧が放電終止電圧以下になりますので、
3~6ヶ月に1回は充放電をして、再充電しておきます。
長期保存していた場合、使用前には2、3回充放電して慣らしてから使用します。
==注意事項==
リポバッテリより安全性は高いといっても、内部は高エネルギーを内包しています。
配線をショートしたり、バッテリを落とす・傷つける・穴を開けたりすると、発煙・発火する可能性がありますので、
扱いは十分気をつけて使用しましょう。
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