Maker Faire Tokyo 2014にて限定販売を行った週刊モーニング連載漫画「ハルロック」と月刊日経Linux誌の連動企画「neko-tterキット」の組み立て方を解説致します。 今回販売したneko-tterキットには首輪セットA,水飲み場セットB,RasPiセットCの3種類があります。
【準備】
キットのTWE-Liteにはファームウェアが書込まれていません。DIP版は組み立てを始める前に、SMD版は組み立てた後にファームウェアを書込む必要が有ります。ToCoNet SDKとneko-tterのソースコードをダウンロードし、日経Linux 2014年11月号本誌、本誌補足情報、TOCOS-WIRELESS.COMなどを参考にコンパイル、書込みを行って下さい。 またRasPiセットCのRaspberryPiにはmicroSDカードが付属しませんので、別途microSDカードをご用意の上OSのインストールを行って下さい。
【水飲み場セットB】
先ずは、組み立てが簡単な水飲み場セットBから説明しましょう。
キット内容
- (1)電池ボックス 単3x2本 スイッチ付き、(2)ネジ
- (3)TWE-Lite DIP版
- (4)【QIコネクタ用】信号伝達コネクタ用ピン オス【M】
- (5)【QIコネクタ】信号伝達コネクタ(黒)1×1
- (6)ミニブレッドボード BB-601(白)
- (7)(8)説明書
この他、電源として単三電池2本を別途ご用意ください。また電池は最後に電池ボックスに入れますので、ここでは電池ボックスには電池を入れないで下さい。
組み立て方法
- ミニブレッドボードのシールをはがして電池ボックスのスイッチ側に貼ります。
- ミニブレッドボードにTWE-Lite DIP版を挿し込みます。
- 電池ボックスのコードにQIコネクタ用信号ピンを取り付け、コネクタを被せます。※信号ピンは圧着ペンチがあると簡単に取り付けられます。お持ちでなければ、ラジオペンチなどでかしめるか、あまりお勧めしませんが半田付けをして下さい。
- 電池ボックスの黒コードをTWE-Lite DIP版の1番ピン(GND)の脇に挿し込みます。
- 電池ボックスの赤コードをTWE-Lite DIP版の28番ピン(VCC)の脇に挿し込みます。
組み立てはとても簡単ですね。後は電池ボックスに単三電池2本を入れ、スイッチをONにすれば動作します。
【RasPiセットC】
次はRasPiセットです。
キット内容
- (1)ブレッドボード BB-801
- (2)RaspberryPi B+
- (4)TWE-Lite DIP版
- (5)ジャンパワイヤ オスーメス (赤・黒・白・緑)
- (3)(6)TWE-Liteの説明書
キットの他、RaspberryPi用のmicroSDカード、電源とネットワーク環境(有線or無線)およびRaspberryPiをセットアップするのキーボードやマウス、microSDカードにOSを書込むためのパソコンが必要です。
組み立て方法
- RaspberryPiがシャットダウン状態で電源が抜かれている事を確認して下さい。以降、通電していない状態で作業して下さい。
- ブレッドボードにTWE-Lite DIP版を挿し込みます。
- 白ジャンパワイヤをRaspberryPiの10番ピン(RXD)とTWE-Lite DIP版の10番ピン(6の字の下)(TX)の脇に挿し込みます。
- 黒ジャンパワイヤをRaspberryPiの9番ピン(GND)とTWE-Lite DIP版の1番ピン(GND)の脇に挿し込みます。
- 赤ジャンパワイヤをRaspberryPiの1番ピン(3.3V Power)とTWE-Lite DIP版の28番ピン(VCC)の脇に挿し込みます。
- RaspberryPiに電源を繋いで起動します。
- RaspberryPi上でTwitter投稿の設定をします。(日経Linux 2014年11月号P.28〜参照)
シリアル通信はクロス接続になります。手順の3のRaspberryPiとTWE-Lite DIP版で繋ぐ信号名が違っている状態で正しいです。ご注意ください。 相互に通信したい場合、緑ジャンパワイヤをRaspberryPiの8番ピン(TXD)とTWE-Lite DIP版の3番ピン( 7の字の下)(RX)の脇に挿し込みます。
【首輪セットA】
最後に首輪セットAの説明をします。このセットはかなり難易度の高い半田付け作業が必要です。説明を良く読んで組み立てて下さい。
キット内容
- (1)コイン電池CR2032
- (2)CR2032電池ホルダ
- (3)TWE-Lite説明書
- (4)SMD基板(0.3mm厚、カッターで切って使います。)
- (5)UEWポリウレタン線 50cm(切って使います)
- (6)加速度センサ(中に入っているピンは使いません)
- (8)TWE-Lite SMD版+(7)はてな型アンテナ
- (9)ライター用コネクタ(1.27mmピッチピンソケット、切って使います)
- (10)ライター用コネクタ(1.27mmピッチピン、切って使いますが、書き込み器側なのでここでは使いません。こちらはライター用ケーブルの作成にお使いください。)
キットの他、1cm幅程度の両面テープ、エポキシ系接着剤、半田をご用意ください。
用意する工具
半田ごて、金切りばさみもしくはカッター、ニッパ、ラジオペンチ、ドライバ等。
配線図
組み立て方法
- SMD基板を10 x 18mmに切り出します。 日経Linux誌では11 x 18mmになっていますが、SMD基板によるショートを避けるため細目に切り出した方が良い様です。
- 1.27mmピッチピンソケットから6ピン分を切り出します。
- 6ピンソケットをSMD基板の裏面(青い面)にエポキシ系接着剤で接着します。
- SMD基板の裏面(青い面)に両面テープをはります。
- はてな型アンテナをTWE-Lite SMD版に半田付けします(日経Linux 2014/11月号P.27写真③参照) 。大変申し訳有りませんが、写真撮影時にアンテナを付け忘れています。以降の写真ではアンテナが付いている物として見て下さい。
- 6ピンソケットにUEW線を半田付けします。
信号名 配線長 RST 10mm RX 30mm TX 30mm Vcc 35mm PRG 30mm GND 10mm - UEW線を一旦折り返して、両面テープの保護紙を外しTWE-Lite SMD版を貼付けます。TWE-Lite SMD版の裏面のランド( 金メッキの部分)に重ならない様に注意して下さい。写真では11mm幅でカットしているので、ギリギリのサイズになっています。
- 6ピンソケットからのUEW線をTWE-Lite SMD版に半田付けします。
コネクタ TWE-Lite(SMD版) 信号名 ピン番号 信号名 RST 21 RESET RX 9 RX TX 8 TX Vcc 5 VCC PRG 2 PWM3 GND 20 GND - TWE-Lite SMD版にUEW線を半田付けします。17番ピン(SDA)の配線は横に延ばせないので、一番最後に付けると良いでしょう。
-
ピン番号 信号名 配線長 5 VCC 50mm 13 DI1 30mm 14 SCL 30mm 15 DI2 30mm 17 SDA 30mm 30 GND 30mm - 加速度センサの裏面に両面テープを貼ります。この時、両面テープで裏面の半田ジャンパ部分(金色の向かい合った半円)が隠れる様にして下さい。その後、両面テープの保護紙を外します。
- 加速度センサにUEW線を通し、TWE-Lite SMD版の上面の両面テープで固定します。
TWE-Lite(SMD版) 加速度センサ ピン番号 信号名 ピン番号 信号名 5 VCC 1 VDD 13 DI1 5 INT1 14 SCL 9 SCL 15 DI2 5 INT2 17 SDA 8 SDA 30 GND 2 GND - 加速度センサに通したUEW線を半田付けします。余った線のうち、写真左側の端子(VDD,GND)から出ているUEW線はカットせずに残して下さい。
- 電池ホルダの足を2ヶ所カットします。(写真で◯の部分)
- SMD基板の表面(銀色の面)に両面テープを貼り、保護紙を外して電池ホルダに固定します。
- 加速度センサから出たUEW線を 電池ホルダの端子に半田付けします。
ファームウェアの書き換えには接続するケーブルを自作し、専用の ライターもしくはTWE-Lite R に繋ぐ必要がが有ります。専用ライターについては日経Linux誌の本誌補足情報をご参照ください。
【TwE-Lite R接続ケーブル】
当社では首輪セットAをTWE-Lite Rに繋ぐケーブルを作成してみました。首輪セットの書込みの参考にして下さい。
材料
- 1.27mmピッチピンヘッダ(首輪セットAのおまけのピンヘッダが使えます)
- QIコネクタソケット5P
- QIコネクタコンタクトピン メス x5
- 丸ピンヘッダ1P(VCC用)
- 配線材と熱収縮チューブなど
配線図
- TEW-Lite Rのシリアル端子(TX,RX)は内部でクロス接続になっているので、接続ケーブルはTX-TX,RX-RXのストレート配線をします。
- TEW-Lite R側のVCCは他の配線より5cm程長くして、TEW-Lite RのVCC(3.3V)出力に接続出来る様にします。
使用イメージ
電源用ジャンパピンをUSB側にしてPCから給電する場合、neko-tterのボタン電池を外して下さい。 |
【最後に】
ファームウェアの書込みやRaspberry Piのインストール、さらには細かい電子部品の半田付け組み立てなど色々とハードルの高いキットになってしまいましたが、ぜひハルロックの晴ちゃんと同じ組み立て体験を楽しんで下さい。以上、neko-tterキットの組み立て方法のご紹介でした。